指南書製本「和綴じ本解説」

和綴じ本について

『石州流野村派 薄茶点前指南書』の和綴じ製本を担当させていただきました。

伝統的な日本の和綴じ本は、明治以降に西洋の製本様式が普及するまで、
千年以上にわたって日本人の暮らしや文化を培ってきました。

紙は和紙を用い接着に糊をほとんど使用しないことから、
手に持った時のしなやかでやわらかい本の仕上がりが特徴です。
最も一般的な綴じ方は「四つ目綴じ」ですが、今回は石州流茶道の指南書ということで、
シンプルで洗練された綴じ模様「康煕綴じ(こうきとじ)」で仕立てています。

また、本のサイズも伝統的な規格である半紙本に合わせ、
表紙には京友禅紙を使用し、一冊一冊手作業で製本いたしました。

本書を通して、受け継がれてきた茶道と和綴じの和の文化が融合し、
よりこころ豊かな茶のひとときとなることを願っています。

(孝本 真由子)

 

孝本 真由子:プロフィール

出版社勤務の傍ら製本技術を習得し、その後独立。
主に近代以降の洋本・和本の修理、洋本・和本の特注製本のほか、
小学校、大学、公共機関、企業などで製本やものづくり講座の
企画・講師を担当。

http://macobookworks.jp/

 

綴じ模様について

◆伝統的な綴じ模様

一般的な「四つ目綴じ」のほか、亀甲や麻の葉といった縁起の良いものを綴じ模様に託した
「亀甲綴じ」や「麻の葉綴じ」、中国清代の康煕帝が好んで使ったといわれる
「康煕綴じ」といった、珍しい綴じ模様もありました。

◆オリジナル綴じ模様シリーズ~Watoji~

マコブックワークスでは、伝統的な和綴じ製本に現代のエッセンスを加えた、
遊び心のある綴じ模様を考案しています。

和紙の柄とも組み合わせたデザインです。